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2018年8月12日 (日)

8月5日「敵意の理由」平和聖日

そのころ、この道のことでただならぬ騒動が起こった。そのいきさつは次のとおりである。デメトリオという銀細工師が、アルテミスの神殿の模型を銀で造り、職人たちにかなり利益を得させていた。彼は、この職人たちや同じような仕事をしている者たちを集めて言った。「諸君、御承知のように、この仕事のお陰で、我々はもうけているのだが、諸君が見聞きしているとおり、あのパウロは『手で造ったものなどは神ではない』と言って、エフェソばかりでなくアジア州のほとんど全地域で、多くの人を説き伏せ、たぶらかしている。これでは、我々の仕事の評判が悪くなってしまうおそれがあるばかりでなく、偉大な女神アルテミスの神殿もないがしろにされ、アジア州全体、全世界があがめるこの女神の御威光さえも失われてしまうだろう。」これを聞いた人々はひどく腹を立て、「エフェソ人のアルテミスは偉い方」と叫びだした。そして、町中が混乱してしまった。彼らは、パウロの同行者であるマケドニア人ガイオとアリスタルコを捕らえ、一団となって野外劇場になだれ込んだ。パウロは群衆の中へ入っていこうとしたが、弟子たちはそうさせなかった。他方、パウロの友人でアジア州の祭儀をつかさどる高官たちも、パウロに使いをやって、劇場に入らないようにと頼んだ。さて、群衆はあれやこれやとわめき立てた。集会は混乱するだけで、大多数の者は何のために集まったのかさえ分からなかった。(使徒19章23~32節)

 今の時代、敵意に満ちたヘイトスピーチが横行し、さまざまな書物、インターネットなどでも悪意や反感のことばがあらわにされています。
 かつて、パウロもいたるところで敵意に直面しました。使徒言行録19章には、エフェソでの迫害のいきさつがくわしく描かれています。
 エフェソはアジア州の首都であり、また女神アルテミスをまつる神殿は「七不思議」のひとつとして有名でした。参拝記念のみやげ物として女神像や神殿の模型もよく売れていたようです。そのみやげ物業者のデメトリオがパウロへの敵意をあおります。それは利益と欲望にもとづくものでしたが、多くの人々が同調して怒り(28節)、わけもわからず騒ぐほどになりました(32節)。炎上する敵意と怒りの底には何があったでしょうか。
 エフェソの繁栄は、ローマに征服された屈辱と引き換えでした。またローマ帝国の発展によって社会が激変し、成功する人々がいるいっぽうで、取り残され、落ちこぼれ、見捨てられていく人々の不安や憤りもたまっていたのでしょう。「エフェソ人のアルテミスは偉い方」(28節)と言う叫びは、昨今の「日本はすばらしい国!」という声と重なって聞こえます。
 パウロはまた、ユダヤ人からの敵意にもさらされました。ユダヤ人もまた異民族に支配される苦しみから救われるために、必死で律法を守って神のゆるしを得ようとしていました。律法をないがしろにするキリスト者のふるまいは神の怒りを招き民族をさらに苦しめるとしてゆるせなかったのです。
 敵意や反感、差別をもって迫ってくる人々もまた、多くの苦しみ、悩み、重荷、不安、恐れを負っています。まずは敵意に抗して人々を守らなければなりません。しかし、そのうえでさらに、「敵を愛し、迫害する者のために祈れ」(マタイ5:44)との主イエスのことばを心に刻みましょう。

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