カテゴリー「北部日記」の記事

2023年10月29日 (日)

北部日記 10月29日

 教会の事務室の入り口の上に写真が掲げてあります。20年前、札幌北部教会での就任式の際の記念写真です。旧会堂の庭にぎっしりと集まり、庭のすべり台の上から北光教会の高橋さんが撮影してくれました。写っているひとりひとりの今より20歳若い顔だちに、この20年の思い出がつのります。中にはすでにみもとに召された方もいます。いっぽう、いま活躍している若い人たちの幼くかわいらしい顔もあります。うしろに写っている旧会堂のたたずまいにも、なつかしさがよびおこされます。
 札幌北部教会を初めて訪れたのは、教会創立20周年のお祝いのときでした。その後いちど招かれて旭川での会堂建築の経験についてお話をしたこともありました。よもや、その後、北部教会に招聘されて創立30周年・40周年を迎え、また会堂建築に携わることになるとは思ってもいませんでした。神さまの計画に驚かされます。
 札幌北部教会での20年は牧師として幸いな年月でした。教会は牧師を信頼して支え続け、北部教会のためだけでなく、教区や教団、他教会のための働きにも祈って送り出してくださいました。日曜日に皆と共にささげる礼拝は、私自身にとっても大切なよりどころでした。いっぽうで、信徒ひとりひとりのためには充分な働きをなしえなかったことを告白しなければなりません。感謝と共に、ゆるしを求めるものです。
 そしてまた、この20年は、私たち家族のたくさんの大切な思い出を重ねた日々でもありました。久世家一同を愛し、見守り、おつきあいくださってきた皆さま、ほんとうにありがとうございました。

2023年10月22日 (日)

北部日記 10月22日

 先週、教団の会議で発題を依頼されてお話ししてきました。北海教区の経験から、教会の協力や課題について語りました。
 北海教区の59の教会の平均会員数は約35名ですが、59のうちおよそ三分の二は平均よりも人数が少ない小規模教会です。そのうちいま11の教会が無牧師となっていて、牧師がいるのは、教区の謝儀補償を受けているか、幼稚園があるか、兼牧となっているかのいずれかがほとんどです。小規模教会で、幼稚園もなく、謝儀補償も受けず、単独で牧師がいる教会は二つだけ、いずれも牧師の配偶者にまとまった収入があるケースです。教区全体をみると、教会の数にくらべて牧師の数がずっと少ないのです。
 ところが、教団全体をみると、教会の数より牧師の数が多いという教区もすくなくありません。ひとつの教会に複数の牧師(伝道師)がいるところもめずらしくないのです。しかし、そういう教区は関東・中部・関西地方にかたまっています。地方の教区は北海教区同様、牧師が足りないのが現状です。牧師を迎えたくても支える力に乏しく、少ない牧師が、兼務・代務を余儀なくされ、2つどころか、3つ4つの教会の責任を負っていることも聞きました。
 札幌北部教会は、牧師の招聘にとりくもうとしています。北部教会は、今なお単独で牧師を迎える力のある教会です。どんな牧師を迎えるかは、もちろん北部教会にとってのだいじな課題です。しかしそれとともに、札幌北部教会が新しい牧師を迎えることは、札幌地区や北海教区の諸教会にも深くかかわってくるできごとです。諸教会もまた、北部教会の牧師招聘を、大きな関心をもって注目しているのです。

2023年10月15日 (日)

北部日記 10月15日

 先週、北海教区の教職講座が行われました。毎年秋に、コロナ以前は3泊4日をかけてたくさんのテーマでの学びや交流が行われていました。日常を離れて同労の仲間たちとゆっくり過ごすことじたい、牧師にとって貴重なリフレッシュの機会です。今回4年ぶりに集まり、日程は2泊3日と短くなりましたが、それでもゆたかなプログラムをもつことができました。
 今回の研修の中心は、いま策定中の「北海教区第5次長期宣教計画」についてでした。今後10年を見通しての計画をめぐって、諸教会の現状と課題、この世にあっての教会の使命、連帯の恵みと限界、これからの希望など、いろいろに話し合いがなされました。
 また、牧師個人の牧会上の悩みや苦労を語りあう場面も多くありました。地方の町の教会の牧師や、新着任の牧師にとって、ささいな悩みや戸惑いについても耳を傾けてもらえるのはほんとうに貴重な機会です。
 教職講座の席上、安*牧師の急逝の知らせが届き、一同衝撃をうけました。以前からの病を抱えながら教会と幼稚園の建築を果たしたところでしたが、日曜の朝突然倒れ、救急車で運ばれ手当てを受けたものの亡くなられたとのことでした。その日の夜の祈祷会の時間には、ご家族と、また教会・幼稚園を覚えて皆で祈りました。
 教職講座では、牧師の健康もまた話題になりました。肉体だけでなく、心の健康をも守ることが、牧師たちのさしせまった課題になっています。閉会礼拝を小*牧師が担当し、ご自身の経験から「笑うことが大切」と語られました。共に笑いあえる仲間たちに、牧師もまた支えられるのです。

2023年10月 8日 (日)

北部日記 10月8日

 このところ何回か、劇の練習に赴いています。もちろん、本格的な演劇ではありません。教区の宣教協議会での、発題のかわりの寸劇です。
 こんどの土曜日14日、「『兼務、代務、連帯』〜もしも、こんな教会があったら〜」というテーマで教区宣教協議会が行われます。せっかく牧師を迎えたのに、教会では人手が足りず就任式を行うこともままならないとしたら・・・・。もしも牧師が突然病に倒れて辞任してしまったら・・・。そんないくつかの状況を想定した寸劇を見て、どうしたものか考えます。これからの北部教会にも深くかかわるテーマです。ぜひ多く参加できればと思います。
 先週の礼拝後、教会懇談会を行い、今後の牧師招聘について、またそれまでの無牧師の期間の過ごし方など話し合いました。その後つづけて役員会・招聘委員会を行い、話し合った内容をまとめて検討しました。
 11月からは小西陽祐牧師に代務をお願いしました。小西先生には毎月第二週の礼拝説教と役員会に来ていただき、また太平子どもの家の園長代行も担っていただきます。礼拝説教は他の牧師たちにも来ていただきますが、月に1回は信徒が証を担当し、また説教の録画も用いてみます。
 そのほか、週報の作成や会堂の管理など、どうしても教会自身で担わなければならない働きもこまごまとあります。地域にかかわりの深い教会ですから、日曜以外は会堂を閉じておくというわけにもいきません。とくに毎週土曜日にも会堂を開けるために、何人かで「土曜日当番」を組もうとも相談しています。牧師ひとりが不在となっても教会は活動し続けることができるように、それぞれ、できることを担っていただければと願っています。

2023年10月 1日 (日)

北部日記 10月1日

 もう10年近く前、CSでキャンプにでかけた途中でブドウの苗を見つけて購入し、会堂の裏手に植えると、フェンスにからんで枝を伸ばして大きく育ちました。春先に剪定するのがよいということで、毎年ほぼまるぼうずになるくらいに枝を払い、「やりすぎた!」と心配になるのですが、ちゃんとその後どんどん葉が広がって実をつけています。今年は夏の暑さのせいでしょうか、例年より早く、たくさんの実がなって、太平子どもの家のこどもたちとブドウ狩りを楽しむことができました。
 これまで、ブドウでジュースを作ろうと何度か試みました。ブドウの実を房からとり、鍋で煮て、布袋に入れ、しぼるのではなく自然に滴下させるのがよいというのですが、どうもうまくいきません。にごったり、渋みが出たりしてしまいます。今年はもうあきらめてジュースには手を出しませんでした。
 ブドウは、ジュースよりワインにしてしまったほうが簡単ともききました。もちろん、許可なく酒を作るのは法律違反・・・。それくらいワインは作りやすいということなのでしょう。
 キリスト教会にとって、ワインは聖餐式に用いるために欠かせないものでした。とくに修道院で毎日のミサのためにワインを作るようになり、それが発展して有名なワインの銘柄となったものも少なくないといいます。
 現代の教会では、聖餐式にワインではなくアルコール抜きのブドウジュースを用いるところが多くなっています。ということは、「教会オリジナルジュースでの聖餐式」も可能ということです。北部教会で、いつかそんなことが実現できるかもしれませんね。

2023年9月24日 (日)

北部日記 9月24日

 オーケストラの演奏前、ステージに楽器がそろうと、それぞれ音を出して音程を合わせます。そのとき最初に音を出すのがオーボエという楽器です。オーボエは構造上、音程の調整が難しいので、ほかの楽器がオーボエにあわせるようにするのです。「いちばん難しさを抱えているものに、みんなが合わせるのだ」と言った人がいます。オーボエは演奏もとくに難しい楽器とされていて、学校の吹奏楽部などでもオーボエの演奏者を確保するのには苦労します。今週金曜日の太平子どもの家「お月見コンサート」では、そのオーボエの独奏をお楽しみいただきます。
 太平子どもの家の「ほっと広場」は、とくにコロナ禍以降、参加者が極端に減ってしまっています。今の時代、多くの家庭が共働きとなり、平日の昼間に親子で出かけるのはとても難しくなっているからでしょうか。けれども、それだからこそ、親子でいっしょに楽しむ機会はいっそう大切になっていると考えられます。そのために、親子ででかけやすい土曜日に何かできないかと相談し、まずは今度の土曜日に「土曜ほっと広場」を行ってみることにしました。毎週火曜日の「ほっと広場」のように、会堂を開放して自由に遊びに来てもらいます。急な計画なので、今回どれくらい参加者があるかはわかりませんが・・・。土曜日や日曜日に、ただ自由に遊ぶだけでなく、お昼やあるいは夕食をいっしょに食べたり、なにか特別のイベントを計画したり、といった今後の展開も話題にしています。
 きょうは太平子どもの家のためのバザーです。こどもの家の働きを通して、地域のこどもたちとその家庭に幸いがもたらされるよう祈りましょう。

2023年9月17日 (日)

北部日記 9月17日

 11月から当面の間、北部教会は牧師が不在となります。その間の対応について、先週の役員会で相談しました。
 無牧師の間、代務者をお願いすることとなります。ただし、「代務者」は「代理牧師」ではありません。あくまでも限られた範囲での働きを担っていただくものです。そのほかについては教会員で分担し、あるいはしばらくは中断する働きもあります。
 礼拝の説教は代務者や近隣の牧師にお願いし、信徒も証を担当します。礼拝プログラムもシンプルにする必要がありますが、もし他教会の礼拝にオンラインで参加する場合には、そのプログラムにあわせることも考えられます。お花も毎週用意できるとは限りません。
 教会のインターネット関係の設備や体制を新たに整える必要がありますので、それまでZOOMでの礼拝配信などは中断することになります。ホームページやブログ・FACEBOOKなども縮小・閉鎖します。
 水曜の祈祷会もしばらく休止します。太平子どもの家の活動は継続しますが、園長は代理をお願いしなければなりません。
 会堂を開ける日も限られてきます。教会や子どもの家の活動がある日のほか、できるだけ土曜日には誰かが来るように相談しています。いま、町内会や地域のサークル等も会堂を使っていますので、連絡をとりあって不便がないよう配慮する必要があります。
 教会にかかわるさまざまな働きがあります。小さなところでも、積極的に担っていただき、新しい道への備えに加わっていただければと願います。

2023年9月10日 (日)

北部日記 9月10日

 5年前、胆振東部地震が起こりました。あの日、教会や自宅には大きな被害もなく、停電の中でも午前中はまだ電話が通じていたので、各地に連絡をとって安否確認などにつとめました。町内会の役員たちも緊急に集まって対応を話しあうことに。その間も、スマホに次々にいろいろな情報が入って来ます。「札幌で断水」「手稲方面から次々に全市で水が止まる」「まもなく北区も」という情報が届き始めました。急いで周囲に伝え、水を貯めておくよう勧めました。ところが実際には札幌の断水は限定的で、断水の情報はデマでした。結果的に、自分もデマを広げるのに加担してしまっていたのです。後々まで町内会の人に、「久世さんが『断水だ!』って言うもんだから、あわてて風呂に水を貯めたよ」と、いじられました。
 今月はまた、関東大震災から100年でもありました。地震だけでなく、混乱の中、各地で起こった「朝鮮人虐殺事件」も改めて覚えなければなりません。パニックの中、根拠のないデマが広がり、何千人もの人々が殺傷されたのです。デマに惑わされるのは、百年も昔のことだから、ではありません。自分もまたそうしたデマに踊らされるひとりであることを肝に銘じます。
 コロナウイルスが広がってきたときも、さまざまな情報やうわさが流れ、人々が右往左往しました。根拠のない「感染対策」に頼ったり、逆に感染を恐れるあまり、他の地域のナンバーの車が拒否されたり、若者やこどもが排斥されたりと、さまざまなあつれきがもたらされました。そうした行為による傷も、まだ深く残っているのです。
 日ごろから、真実をみきわめる力を求め続けていかねばなりません。 

2023年9月 3日 (日)

北部日記 9月3日

 夏の休暇をいただき、大阪に行ってきました。いくつか目的があったのですが、そのひとつが天満教会を訪ねることでした。
 妻の父は、旭川六条教会の信徒でしたが、洗礼を受けたのは壮年になってからでした。その父親(妻の祖父)は、若いころに札幌で洗礼を受け、後に旭川に移住したということでしたが、旭川では教会にはつながっていませんでした。その祖父が亡くなった時にキリスト教で葬儀を行ったのが、父が教会にむかうひとつのきっかけになったようです。
 昨年、ふとしたことから祖父の信仰のルーツがわかってきました。祖父の父(妻の曽祖父)は、今の札幌北光教会の創立時(1896年)の信徒のひとりでした。もともと大阪の菓子屋のあととりだったようですが、1889年に天満教会で洗礼を受け、続いて母親や妹夫妻も受洗しました。やがて一族で札幌に移住し、他の信徒たちと共に新しい教会を設立したのでした。
 先週日曜日、妻と二人で天満教会の礼拝に出席しました。あらかじめ天満教会の小西望牧師に連絡していたので、礼拝後にあいさつの機会を作ってくださいました。天満教会の皆さんにいきさつをお話しし、「曽祖父が天満教会で洗礼を受け、札幌北光教会の創立にかかわりました。いまの天満教会の小西牧師はその札幌北光教会の出身です。神さまのふしぎなはからいです」と伝えました。
 礼拝の前、曽祖父の実家の菓子屋があったと思われるあたりを訪ねてみました。曽祖父や家族が教会に通ったはずの道を歩きながら、人の一生をこえて信仰がつながるふしぎを思いました。

2023年8月27日 (日)

北部日記 8月27日

  昨年は、北部教会で20年目の年でした。また、個人的にも60歳の還暦を迎えました。そんなとき、ふと、『説教集 旅装を整える』という本を手に取りました。かつての国分寺教会の牧師で、私に牧師になるよう勧めてくれた渡辺正男牧師の著書です。ある一節が目にとまりました。
 「わたしは若い時、親の反対を押し切って不安を抱えながら神学校に入りました。年を取ってからも何度か旅立つという思いのときがありました。六〇歳のときには、専任の牧師を迎えることが困難な小規模の教会に仕えようと決心して、青森の八甲田山の麓の雪深い里にある伝道所に赴任しました。・・・思い切って、主の助けに信頼して、ゆだねる思いで出で立つ。そういうときがありますね。」
 読みながら、むかし渡辺牧師から聞いたことを思い出していました。渡辺牧師は、国分寺教会の前は函館教会で牧会されていましたが、北海教区で共に働いた、神学校の先輩でもある福島恒雄牧師が、旭川豊岡教会で大きな働きを成し遂げたあと留萌での開拓伝道に赴いたことを尊敬と感動をこめて語り、ご自分の志をも重ねて語っていたのです。
 自分にも「そういうとき」が来るのかもしれない、と思っていたときに、思いがけず美唄教会からの招聘をいただきました。今、旅立つよう促されたと受けとめ、先週、北部教会の臨時総会で辞任を承認していただきました。美唄教会の事情で11月の赴任となり、あわただしい旅立ちとなります。充分な備えが整えられるか気がかりですが、自分自身と北部教会を、主の助けに信頼してゆだねる思いで、出で立っていこうと思います。

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